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いまだに「実質賃金ガー」って言っている人いるんですね


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実質賃金の意味をちゃんと理解しましょうよ

厚生労働省が発表した2017年の実質賃金の統計が、前年比でマイナス0.2%となり、案の定「アベノミクス失敗」というつぶやきがいたる所で見られます。

 ですが、実質賃金とはどのような性質を持っているのか。それをきちんと理解していれば↓の様な批判は無くなるんじゃないかなと思います。

 実際には国民の所得は増えていますからね。

実質賃金が2年ぶり下落 「アベノミクスっていつ結果出るの?」という声が相次ぐ  2018/2/8 キャリコネニュース

https://news.careerconnection.jp/?p=49834

『厚生労働省が2月7日に発表した毎月勤労統計調査によると、2017年の実質賃金は16年に比べて0.2%減少し、2年ぶりのマイナスになった。名目賃金にあたる現金給与総額は0.4%増加したものの、物価の伸びに賃金の伸びが追い付いていない状況だ。

この報道を受け、「アベノミクス失敗」「私が死ぬまでにアベノミクスって結果出るの?」と経済政策の見直しを求める声が相次いでいる。(後略)』

 うーん。私の記憶が正しければ、昨年(2016年)は実質賃金が上昇してて、その時は「実質賃金が上がったが、インフレ率が上がっていないだからアベノミクスは失敗だ」と言われていた気がするんですが・・・違いましたかね。

 まあ、2年ぶりに実質賃金が下落したということで、『実質賃金教』の方々が食いついたということなんでしょうね。

 案の定、この方(三橋貴明氏)も飛びついておりますし。

なぜ、実質賃金が低迷するのか?

https://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12355860055.html

 ちなみに実質賃金とは実際に労働者が受け取る名目賃金から物価の変動の影響を取り除いたもので、以下の様な関係となります。

実質賃金変化率 = 名目賃金変化率 - 物価変動率

 昨年の実質賃金の下落はこの物価変動率の上昇、つまりインフレによってもたらされていると考えられます。昨年の名目賃金は0.4%の上昇でしたので。

 実質賃金が下がるという事は、例えば

 月収が20万円から22万円に10%増えました。しかし物価が10%も上がってしまうと、これまで毎月20万円かかっていた生活費が22万円も必要になる。1万円給料が増えたけどこれでは実質的に1万円の給料が減ったことと同じだ~ってことになります。

 物価が上がると同じお金で買えることができるモノの量が減ってしまうので、実質賃金が下がるということは実質的に国民の購買力が落ちているということになります。

 実質賃金が低下=国民が貧しくなっている

 実質賃金を強調する人はそう主張しているわけなのですが、これらの方々には実質賃金が平均賃金であるという認識がゴッソリと抜け落ちている感じがします。

平均の概念を無視しては実質賃金を正しく評価できない

 例えば、この場合 (月収です)

Aさん、Bさんがそれぞれ月収40万円、30万円で働いていました。この時の平均の賃金は35万円です。

そこに翌年、新たにCさんが月収20万円で雇用された場合、この三人の平均賃金は30万円と、Cさんが新規に雇用される以前に比べて5万円も減ってしまいました。

さてこの場合、Aさん、Bさん、Cさんは平均賃金が下がったことにより、貧しくなったのでしょうか?

貧しくなってないですよね。

Aさん、Bさんは賃金が変わっていません。(実際には微増すると思うけど)

むしろCさんは新たに職を得られたことにより、ゼロだった所得が20万円も増えています。よって、三人の賃金の合計は70万円から90万円に増えました。

新規に雇用された人は、これまで働いていた人よりも当然低い賃金で雇用されるケースが多いと思います。2013年から雇用者総数は250万人近くも増えたわけですので、平均賃金に下方バイアスがかってしまうのは当然のことでしょう。

平均賃金だけを見ていると、このような平均値の罠にハマって、本当の経済状況がわからなくなってしまいます。

この場合、見るべきは雇用者全員が受け取る報酬の総計、雇用者報酬を見るべきだと思います。

雇用者報酬については消費税増税の影響で、一時的に実質値が下がっている時期があるものの、名目、実質値共に上昇傾向にあります。

要するに、新たに職を得た人が給料を受け取るようになって、国民全体の所得合計は上昇しているということですね。

ポイント

平均賃金が伸び悩む中、国民の受け取る所得の総額は増えている。つまり、新規就労者が増えた事が平均賃金の伸びを押し下げる要因になっている。

パート比率の上昇も実質賃金の低下に寄与

あと、豚丸さんのデータによると、フルタイム労働者(正規社員、派遣が主)の賃金指数は上昇している模様。

実質賃金の計算にはパートやアルバイトの賃金も含まれるため、増加したパート、アルバイトの人も含めて賃金を平均し、均したら当然下がりますよね。

労働時間はフルタイムの人に比べて、短いわけですから。

と、考えると実質賃金を上げるのは簡単かもしれません。

パート、アルバイトを規制してクビを切り、豚丸さんが仰っているように主婦や老人は働くな! とすれば実質賃金は自ずと上昇するでしょう。

でもそのような事をして実質賃金を上げたとして一体何の意味があるのか?

実質賃金を引き上げることが経済政策の目的では無いはずです。

あ、だからといって正規社員が増えていないというわけではありませんよ。

正規社員は安倍政権になってからV字で回復していますね。

非正規雇用だけが増加しているわけではありません。

あと、パートタイムの方の時給も増えていますよ。

前年比2%強で増加しています。

ポイント

新規就労者やパートの人が増えたら平均賃金が下がるのは当たり前。でも国民の給与所得総額は増えている

いわゆるニューカマー効果

要するに、

実質賃金は正社員、派遣、パート、アルバイトすべてをひっくるめた賃金の平均値を取っている。

よって、フルタイムに比べ賃金水準のパート、アルバイトの雇用が増加している現在、それらの賃金を含めて平均化すると実質賃金に下方バイアスがかかってしまう。

特に新規に雇用される社員の給料は、既存の雇用者よりも低い傾向にあるため、平均値を押し下げやすい

入社したばかりの新人がいきなり高給取り・・・なんてケースは稀だと思いますので。

(幹部候補をヘッドハンティング・・・ならあり得るかもしれませんが、そもそもその人は前の会社でも働いていたわけで・・・)

しかしながら、フルタイム労働者限定で見ると名目、実質賃金は上昇しており、

パートとアルバイト限定で見ると、時給は前年比2%以上増えている。(単純に実質換算はできないけど)

また、雇用者全員が受け取る報酬の合計、雇用者報酬は名目、実質でも増えている

すなわち、労働者全員の賃金を平均化した実質賃金指数だけを追いかけても、本当の賃金、給料の状況を把握することはできない。 ということです。

たしか、三橋氏は一つの指標を見ただけで判断するな~! って言っていた様な気がするんですけどね。

いまだに「実質賃金が―!!」って噴き上がっている連中は実質賃金の性質を全く理解していないか、それとも知っててわざとミスリードしているのか。そのどちらかだと思います。

前者だとただのバカ

後者だと支持者に対して「木を見せて森を見せない」を徹底している悪質なデマ屋さん。

どちらにしても碌なもんじゃないですね。

あ、そうそう。実質賃金が平均なら、名目賃金も下がるはずだ!

なんてアホな事を言っている人はこちらを見てね。

いまだに「実質賃金ガー」って言っている人いるんですね その2

よろしければクリックをお願い致しますm(__)m 人気ブログランキング   なんか下記記事のコメント欄で いまだに「実質賃金ガー」って言っている人いるんですね https://hirohitorigo ...

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ポイント

実質賃金は平均値。実質賃金が減ったからといって、我々の給与が減っているわけではない

アイキャッチの画像は『ぱくたそ』さんから頂いています。

2019年9月21日全体的に更新

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