案の定というか、インドへの5兆円投資決定の報道を受けて、ツイッターで怒っている人がいますが、ちょっと落ち着いて内容を見てほしいと思います。
以下、ヤフーニュースの記事を引用します
日印首脳、声明で戦闘停止要求 岸田首相、5兆円投資表明
https://news.yahoo.co.jp/pickup/6421452
『【ニューデリー共同】岸田文雄首相は19日(日本時間同)、インドのニューデリーでモディ首相と会談した。ロシア軍の侵攻を受けているウクライナ情勢について意見交換。国際法に基づいて紛争の平和的解決を求める必要があるとの認識で一致した。首脳共同声明では、ウクライナの紛争と人道危機に深刻な懸念を示し、戦闘の即時停止を求めた。岸田首相は、日本が今後5年間で官民合わせて5兆円をインドに投資する目標を掲げると表明した。』
これは「投資」です
これ、投資ですからね。
5兆円をポンとインドにあげるわけではありません。
こちらの外務省のページを見て頂ければ分かるのですが・・・
はっきりと『円借款』と書かれていますよね? (金利も1%くらい)
円借款とは民間の金融機関からの融資よりも低い金利で途上国へお金を融資する制度で、政府開発援助(ODA)の一環です。
まあ、途上国は信用が低いので、一般の金融機関からお金を借りると金利が高くなり、インフラの整備などが進まずなかなか経済の発展や、貧困問題の解決にならない。そこで、日本のような外貨準備に余裕がある先進国が低い金利で資金を融資することで経済の発展を促そう。という事ですね。
慈善事業ではありますが、この融資によりインドが経済的に発展すれば日本の企業のインド進出が進み、日本の経済、景気にも好影響を与えることになります。
そうなれば、税収も増えますので、将来的な社会保障負担も減ることになるでしょう。
また、経済面だけでなく、融資をしたインドとの国交も友好的なものになり、軍事的にも国際的にも日本にはメリットがありますよね。
これ、批判している人は円借款とは何なのか? をきちんと理解してほしいと思います。
財源は? って言っている人がいますが・・・
財源はどうするんだ!?
みたいな批判もちらほら見受けられますが・・・
円借款ですので、外貨準備から拠出されます。
外貨準備は去年の段階で1.4兆ドル・・・日本円で約150兆円以上あるんですよね。(以下、日経新聞のリンクです)
この外貨準備ですが、主にアメリカ国債を始めとしたドル資産で構成されてます。
日本の経常黒字が積み重なって計上された資産ですね。
ただ、厄介なことにこの外貨準備はドル資産であるがゆえに日本国内では使えません。
使おうと思えば使えないことはないのですが、ドルを売って円を買う事になりますので、円高が進んでしまいます。
円高が進むと当然日本の輸出産業が打撃を受け、景気が悪化する恐れがあるので、外貨準備はおいそれと国内で使えないんですよ。
ですが、日本はずっと経常黒字国であるため、外貨準備が積み重なっていく一方。
なんとか有効利用できないものか・・・ というわけで円借款という事なんです。
国内でダブついてしまっている外貨準備をインドを始めとした途上国に貸し出せば、途上国へ恩を売れるだけではなく、途上国の経済発展という形で日本経済への恩恵も享受できる。
あくまで、貸し出しですので、日本の外貨準備が減るわけではないですしね。(むしろ利息がついて返ってくるので、外貨準備は増える)
よって、今回のインドへの円借款。日本にとってデメリットはほぼ有りませんので、やらなきゃ損でしょう。
このタイミングでの円借款
インドと日本の会談では、ロシアやウクライナについての表立った言及は無かった様ですが、これ完全にロシア、及び中国への牽制でしょうね。
日本とインドの結びつきが強まる事は中国にとってあまり好ましくはないでしょうし。
今回の投資で批判の声を上げている人は、そのへんのことをきちんと考えて頂きたいと思います。