相変わらず根強い水道事業に対するデマ
宮城県が水道事業において官民連携のコンセッション方式を導入することが決まった影響か、ツイッターなどで水道民営化反対の声をちらほらと目にします。
でもこれ、あくまで官民連携のコンセッション方式をとっているだけで、民営化したわけじゃないんですよね。
宮城県は過去30年前から水道事業の保守運用を民間に委託しており、今回はその運用方式をもっと民間が効率的に動けるようにしただけの話です。
もう30年も民間がやっていたのに何をいまさら騒いでんの? って感じですね。
詳細は別エントリーで説明しようかとは思いますが、下の動画を見ても概要はつかめるかと思います。
参考
動画で知ろう!「みやぎ型管理運営方式」
https://www.pref.miyagi.jp/site/miyagigata/miyagigata-kaisetu.html
でもまあ、自治体や政府の政策に対して反対意見をするなとは言いません。言わないんだけど、せめて批判をするなら事実に基づいて批判をして頂きたい所です。
しかしながら、ツイッターやブログ、ニュース記事などにみられる水道民営化(民営化じゃないんだけど)反対の声はそのほとんどがデマなんですよね・・・。
というか、デマしかないんじゃないかと思います。以下、デマの代表例を挙げると
デマリスト
- 松山市が水道民営化して水道料金が2.5倍
- 宮城県のコンセッション方式導入で早速気仙沼市の水道料金が20%も上がった
- パリの水道料金が民営化により5倍になった。世界の潮流は再公営化の流れ
- ボリビアの水紛争
他にもあると思いますが、とりあえずはこの辺で一個ずつ見ていきます。
松山市の水道民営化で水道料金が2.5倍になった?
松山市の水道民営化デマについては当ブログで何度か取り上げていますが、いまだにこのデマが無くならない(宮城県の件で最近また増えた)ので、再掲します。
水道事業民営化デマに騙されないように
ツイッターで『水道 民営化』で検索すると出るわ出るわ、デマと陰謀論がザックザク。その中に懐かしい松山市の水道民営化デマも混じってました。 またこのデマ復活してるんですね。 これもう定期 ...
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実は私は10年ほど松山市に住んでいたことがあります。(嫁さんの実家です)
そういうわけなので、かつての故郷といえる松山市が、デマに歪められて、民営化の犠牲になった可哀そうな街として政治的な主張を通すための道具として扱われている状況ってのは、非常に腹立たしいんですよね。
だから、このデマが完全に撲滅されるまで何度でも訴えたいと思ってます。私は結構しつこいです。
まあ、しかしながらこの松山市の件、そもそも水道事業を民営化などしていないんですよね。
ちょっと調べればわかります。
令和元年10月1日に施行された改正水道法では、自治体間での広域連携や官民連携を推進することが盛り込まれており、自治体が水道施設の所有権を持ったまま、施設の運営権を民間事業者に設定できる新たな官民連携手法(コンセッション方式)の導入が可能となっていますが、本市では、現時点で新たな官民連携手法を導入する計画はありません。
本市の水道事業の運営は、今後も公営企業局が責任を持って行っていきます。https://www.city.matsuyama.ehime.jp/wagamachi/detail/2663.html
これは松山市のHPにあるコメントの引用ですが、松山市は水道事業を民営化どころかコンセッション方式も導入していません。
水道利用量の検針業務、浄水場施設の保守管理を民間に委託しているだけなんですよね。
なので、デマもいいところです。これで値上がりしているのなら、公営がダメって事になるんですがそれでいいんですかね、水道民営化反対の人たちは。
それで、その水道料金の値上げも真っ赤なウソでして。。。。
ネット上では以下の画像が出回っているのですが、
この水道料金、松山市の隣の東温市の水道料金(下図)と比較してみると・・・
値上げ後と言われている松山市の水道料金と比べてもそれほど差がありません。
※松山市は水源が乏しいので(石手川ダムが干上がる事がたびたびある)、節水のため他の自治体に比べて水道料金は高めに設定されているという事情があります。(1~10立法メートルの料金が極端に安くなっているのはそのため)
もし、この値上げが事実だとしたら、一体松山市はどれだけ水道料金が安かったの?? って話になっちゃいます(-_-;)
この時点で普通の人ならおかしいと思うはずなんですよね。
松山市民は過去何度も水不足で断水、取水制限を経験しているので、水にはかなり敏感ですよ? 隣の西条市(石鎚山系の湧水が豊富)とは水源をめぐって毎年議会で水戦争やってますし、本当に2.5倍に値上がりしたのだったら絶対大騒ぎになってますって。
実際当時私は松山市に住んでいましたが、水道料金の値上げなど全く聞いたことがありません。(庭に井戸掘って節水してましたねぇ。市から補助金出るし)
松山市の水道料金デマが生まれたカラクリ
ではなぜ、こんなデマが生まれてしまったのか、、、
当時の松山市は市内全域に上水道を整備できていませんでした。(久谷地区など)
で、その地域に新たに上水道を敷設。
でもいきなり上水道の正規料金を請求するのは酷なので、移行措置として段階的に料金を引き上げて最終的に正規料金にする措置をとった。
つまり、この上水道導入に伴う水道料金移行措置が、先の『松山市の水道料金大幅値上げ』と銘打った図の正体なわけです・・・
水道(正規)料金は全く値上がりしておりません!
もう完全にアホとしか言いようがないですね。(分かっててやっているのかもしれないですけどね)
デマ情報に飛びつく前にまずは検証しましょう
この松山市の水道料金のデマとか調べたらすぐにわかる事なんですよね。
本当に料金が2.5倍に跳ね上がったのなら、ニュースでも取り上げられて大騒ぎになっているはずですし。
普通に考えればおかしいと思うはずなんですが、政府は改悪をしようとしていると思い込んでいる人たちは簡単に釣られてしまうようです。本当に水道民営化(官民連携のコンセッション方式)に問題があるのなら、こんなデマ情報に頼らなくてもファクト情報を元に反対意見を述べることがでると思うんですけどね。
ファクト。。。あればですけどねw
まとめ
- 松山市の水道料金は隣りの東温市と大差ない(2.5倍になったのなら今までどんだけ安かったの?w)
- 料金の値上がりっぽく見えたのは上水道を敷設した地域に、段階的に水道料金を正規料金まで上げる措置を採ったため
- 正規の水道料金の値上げは行っていない
- そもそも松山市は水道事業を民営化していない