宮崎県で早速水道料金が値上げ?
11月に宮崎県気仙沼市で水道料金が23%ほど値上げされたのですが、それを宮城県の水道事業改正の影響だとして
「民営化で早速水道料金が値上げ!」
というツイートが散見されました。
ですが、これデマです。
以下の記事を読めば分かりますが、気仙沼市ではインフラの老朽化や需要の低下により、以前から水道料金の値上げを予定していましたが、東日本大震災が起きたためその値上げのタイミングを逃していました。
そして今年の11月にやっと値上げをした、、、というだけであって、今回の宮城県の広域水道事業改革とは関係ありません。(マスコミなどは民営化と言っているが民営化じゃない)
復興10年で水道料金を23%値上げする理由【気仙沼市】
https://imakawa.net/blog/6199.html
そもそも気仙沼市は宮城県の水道事業の管轄外
値上げの理由も全く無関係なのですが、そもそも気仙沼市は独自で水道を運営しており、今回宮城県が推進している広域水道事業とは地理的ににも無関係です。
宮城県上工下水一体官民連携運営事業(みやぎ型管理運営方式)事業概要書(平成30年3月)
https://www.pref.miyagi.jp/documents/4434/754168.pdf
赤枠で囲っている範囲が今回の水道事業改革の範囲で、気仙沼とは地理的にかなり離れた場所にあることが分かるでしょう。
つまり、このことで
「水道民営化で値上げ!」
と騒いでいる人たちは、宮城県の水道事業改革についての基本的な知識すら持たずに、ただただ雰囲気で反対している・・・という疑義が濃厚ですよね。
宮城県の水道事業については県が簡単にまとめた動画を公開しておりますので、まずはこれを見た方がよいですよ。恥をかくことになりますので。
Vol.2 「みやぎ型管理運営方式について」
https://www.pref.miyagi.jp/documents/4446/799439.mp4
合弁会社株式を10億円で売却・・・これ何が問題なんですか?
また、こちらもツイッターなどで批判を浴びていますが、
宮城県が水道運営権を10億円で売却 全国初
https://www.sankei.com/article/20211206-E7DQ47PLYVJK5GL4RDIHO4Q6BY/
『宮城県は6日、水処理大手「メタウォーター」(東京)など計10社でつくる「みずむすびマネジメントみやぎ」(仙台市)に上下水道と工業用水の運営権を一括して売却する契約を結んだ。全国初の事例で、来年4月からスタートする。20年間の期限付き、対価10億円で売却したのは、県企業局が所有し仙台市など17市町にまたがる「仙南・仙塩広域水道」など9事業の運営権。県は引き続き施設を保有し、水質検査や管路の維持管理などを担う。(後略)』
宮城県は官民連携のコンセッション方式を採用しましたので、官民が運営する合弁会社、その株式を民間企業と自治体とで分割して保有するというわけで、当たり前のことをしただけなんですよね。
言うなれば、これ民間から10億円を出資させたということになり、民間企業がもし運用に失敗したら、この10億円は目減りします。
つまり、この10億円は人質みたいなものですね。
もし、この10億円を出資させなかった場合どうなるか・・・
民間企業が水道事業を運用するが、その責任は自治体が丸々100%負うことになり、民間企業はもう完全に他人事になります。
失敗しても損失を被ることにならないんですから。当然ですね。
無責任で雑な運用を行うようになり、水道の品質を高めていこうというインセンティブも生じないので、サービス品質が悪化するのは目に見えています。
「水道事業を外資に売り払った」
と、批判している人は 民間企業に責任を負わせて当事者意識を持たせる事は間違っている と考えているんでしょうか?
まとめ
- 気仙沼市の水道料金値上げはインフラ老朽化が主な理由で、以前から計画されていた
- 気仙沼市は今回の水道事業改革の対象外
- 10億円で水道事業を売却したと批判されているが、10億円の投資資金を引き出したの間違い
- 株式の分割保有は運用責任を民間企業にも持たせるのが狙い
宮城県の広域水道事業については今後も詳細をエントリーしていきたいと思います。