経済 財政

『景気が良くなったら金利が上昇して財政破綻する論』に反論してみる


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ハイパー藤巻さんがこのようなことをツイートしていましたので、ちょっと反論してみようかなと思います。

さすがに高橋氏が日銀の負債の大半が発行銀行券だと誤解している・・・とは思いませんw

だってこんなの常識中の常識ですから、知らないわけがありませんw

高橋氏は話の複雑化を避けるためにそのように説明したところを揚げ足を取ったって感じでしょうかね。

さて、藤巻氏の主張を要約すると

景気が回復し経済が成長路線に入ると、当然市場の金利が上がるので、日銀当座預金にかけている金利も上げざるを得なくなる。これは市場の金利上昇を抑え、インフレの過熱を防止するためです。

現在の日銀の負債である当座預金は約400兆円

要するに、これにかかる利息が増えれば日銀の財政が悪化し、政府がその損失を補填しなければならなくなり破綻する・・・というわけですね。

一応日銀は資産として国債を400兆くらい持っているのですが、その国債から得られる利息は金利が上がっても一定。

したがってこのままでは、国債からの利息収入を当座預金の付利が超えてしまうのでは?ということです。

でもこの懸念も三井住友銀行が出している以下のレポートを見れば一発で払しょくできるんですよね~。

金利の上昇が財政に与える影響 ~“金利オーナス”は試算上軽微~

『<要旨> 金利の上昇は、政府の負債に対する支払利子を増加させるだけではなく、保有する資 産からの受取利子や、個人や法人の利子所得に係る所得税収を増加させる。過去 2003 年からの金利上昇局面は、支払利子よりも受取利子の増加が大きく、財政にとってプラ スに寄与した。 もっとも現在では、負債が資産の2倍近くまで膨れ上がっているため、金利上昇時にネ ットの支払利子は増加するだろう。ただし、国債の平均償還年限が8年以上に長期化し ていることもあり、新発債の発行利回りが 1.0%上昇したとしても、負債残高に対する利払 いコストは毎年 0.10~0.15%ポイント程度しか変わらない。よって、異次元緩和の出口に おける金利上昇時の債務/GDP 比率を考えると、名目成長率の上昇が債務/GDP 比率を 押し下げる効果が上回る。 金利の上昇による財政負担“金利オーナス”は試算上は軽微であり、財政に対する配 慮から日銀が異次元緩和の縮小や利上げをためらう懸念は小さい。』

要約すると・・・ 景気が良くなって市場の金利が上がっても日本政府には資産が多いので、その資産からの上がり(利息収入)が増える。(下図)

その利息収入の増加は利払い利子の増加よりも多いため、景気が良くなるとかえって、日本政府(日銀)の利払い負担は減るということです。
 
日銀はETFとかも持ってますしね。
 
このことについては拙書の『日本経済が頂点に立つこれだけの理由』にも書いてました。
(関係ないですがキンドル版も出てたんですね。今気づいた)
 
グラフはちょっとデータが古かったので更新しました。
こちらです。

IMF https://www.imf.org/external/pubs/ft/weo/2019/01/weodata/index.aspx

OECD http://www.oecd.org/eco/outlook/economicoutlookannextables.htm

これを見れば一目瞭然。
経済成長している時期の方が政府が支払う利払い費が少なくなっているのが分かるでしょう。
 
2006年~2007年はネットでの利払い費がゼロです。2019年はあくまでIMFとOECDの予想なので参考まで。
 
一方で景気が低迷していた2008年~2012年は利払い費が増加してしまっています。
 
あれ~? ハイパー藤巻さん。
景気が回復したら利払い負担が増えるんじゃなかったんでしたっけ?
 
なんか逆の結果になっちゃってますが?
 
ちなみにOECDのデータでは、2020年の日本の利払い収支対GDP比を-0.2%と予想しています。(2020年のGDPデータがないのでグラフにはのせていない)
 
あと、金利が上がるほどの好景気になったら当然GDPもうなぎのぼりですので、債務対GDP比も圧縮できて財政はむしろ健全化の方向に向かいますよね。
 
また、当然ですがGDPが増えれば税収も増えます。
 
以下のグラフは政府の財政赤字とGDPの推移ですが、

利払い費と同様、完全に逆相関ですね。景気が良くなれば財政は改善します。

あと、三井住友銀行のレポートですが、2018年、2019年に政策金利が1%にまで上がってしまった場合の日銀財政のシミュレーションもやっています。
 
このレポート自体が2014年に書かれたもので、日銀の当座預金の増加割合が甘めなのが気になりますが、政策金利1%ってそうそう起こる事はないだろうと言えるくらいの高金利です(実際今の金利はほぼゼロ)。
 
だから、かなり厳しめのシミュレーションじゃないのかなぁと思います。
 
で、その気になる結果ですが、2019年の日本銀行の収支は2000億円のマイナスとなりました。
でも2017年末で日本銀行は82,248億円の自己資本を持っているし、毎年3000億円ほど積み立てていますので全く問題ないですねー。
 
ま、景気が回復すれば量的緩和を続ける必要もなくなりますので当座預金も増えることはなくなります。それに償還が来た国債の分だけ当座預金を縮小していけばリスクも減っていくでしょう。
 
ですので、日銀、政府の財政危機については特に懸念することはないと思います。
 
むしろ景気が加熱した方が財政が良くなりますね~。
 
なので、出口については特に気にすることはなく量的緩和を続けも大丈夫。また、インフレ率が上がってしまったイザという時の利上げについても躊躇する必要はないかと思います。
 
少なくともこんなことにはなりませんのでご安心ください。
金利が上がっても既発の国債の金利は上がらないので利払い費は3%増えないのですよw
日本の国債は変動金利ではありませんので。
 
そもそも仮に変動金利だったとしても、その国債の大半は日銀が持っているわけで・・・あとは言わなくてもわかりますよね?
 

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