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モンサント法(主要農作物種子法の廃止)ってなんぞ?


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年明け早々三橋氏が逮捕されるというニュースに少々驚かされましたが、無事釈放されたということですので、ほっと一安心です。(貴重なネタの供給源が失われずに済んだという意味で)

で、その彼が最近というか、去年から躍起になって取り上げているのがこの種子法の廃止。また、性懲りもなくなんの問題もないこの案件を針小棒大に取り上げて危機を煽っています。いわゆる愛国商売ってやつですね。

 

主要農作物種子法廃止(モンサント法)に反対する
http://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12260070319.html
『「種子を握れば、我々の命を掌握できる。食糧を支配できるんです。彼ら(モンサント)は世界中の食糧を支配しようとしています」(「モンサントの不自然な食べもの」より)

 バイエルによる買収話が進んでいるモンサントですが、彼らのビジネスモデルの根幹は「種子の特許を握る」ことにあります。

 モンサントの遺伝子組み換えの種子と、除草剤ラウンドアップの組み合わせは、農業にそれこそ「生産性向上」をもたらしました。何しろ、ラウンドアップは、遺伝子組み換え穀物以外の雑草を、悉く枯らしてしまうのです。

 というわけで、農家にしてみれば、遺伝子組み換え種子を播き、年に数回、ラウンドアップを全面散布するだけで、雑草に悩まされることなく収穫の時を迎えることができます。

 モンサントは、遺伝子組み換え穀物について「特許」を保有しており、収穫した作物からとれた種子を播くことを認めていません。毎年毎年、農家はモンサントから種子を購入し続けなければならないのです。違反すると、モンサントの種子警察がやってきて、告訴されます。(中略)』

モンサントを激しく批判する三橋氏。でもこれ完全に見当ハズレの批判ですよね。
まあ、私も昔はモンサントを悪し様に批判していたことがあったので、あまり三橋氏の事は強く言えないんですけどね・・・(汗)

でもまあ、あれからいろいろ調べて勉強しましたので・・・、はい、反省してます。三橋、中野両氏に煽られていたとは言え、いい加減な記事書いていて申し訳ないです。

で、その三橋氏の主張なのですが、

 

>毎年毎年、農家はモンサントから種子を購入し続けなければならないのです。

 

こう言ってますけど、そもそも、農家の方って収穫した農作物から種子を採って来年それを植えるなんてことしてるんですか?

実家が元々農家(兼業だけど)だったのですが、種子を採って来季にそれを植えるなんて事やってた記憶はまったくありません。自分で食べる分の種芋は保管していた記憶があるのですが、出荷する農作物の種子を農家自らが用意するってあまり聞いたことがありません。

 

露地栽培だと、どこから花粉が来るかわからないので、収穫した作物から取った種子なんかを翌年使ったら品種、品質がバラバラになってしまい、全くモノにならないと思います。
品種がバラバラだと、農薬とか肥料をやるタイミングや必要量もずれると思うし、これではとても去年と同じ収量、品質を維持できるとは思えません。

 

普通は農協などから毎年、苗や種子を買う事になります。普通に考えて、コメ農家がコシヒカリを栽培し、その種籾をとって翌年をそれを植えて、それをコシヒカリのブランドで販売することはできないと思います。

もうそれは既に、何の品種なのか分からないからです。コシヒカリのブランド価値を落とす事になりますし、モンサント種子警察でなくても、真面目にコシヒカリを生産している他の米農家の方が怒ります。

 

別に農家はモンサントが怖くて毎年種子を買っているわけではないです。
というか、大半の日本の農家はモンサント自体知らないと思いますよ?

とまあ、「モンサントの種子警察」なんか普通に、冷静に考えれば分かるウソ(すみません。昔の私は冷静ではなかったみたいです・・・)を未だに垂れ流す三橋氏ですが、どうしてもモンサントを悪者にしなければ都合が悪いらしく、新たなドミナントストーリーを考えだした模様です。

 

それが今回の主題である 主要農作物種子法の廃止です。

 

これは三橋氏曰く「モンサント法」らしい(^_^;)

要するにモンサントの日本への参入を阻害しているこの種子法を廃止するわけなので、モンサントのための法改正だ。 ということらしい。

主要農作物種子法は今回閣議決定された「農業改革関連法案」のなかで廃止される事が決まっているのですが、その中身を見ると

 

主要農作物種子法
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S27/S27HO131.html

 

「主要農作物」とは、コメ、麦、大豆のみに限定されていて、それに外資の開発した種子の参入を規制するような内容の文句は見当たりません。

 

この法律は都道府県が責任を持ってその地域にあった品種を育てて、その種子を供給する義務を負わせたものであって、別に農家はその公的機関が管理する種子以外を使ってはならないという内容にはなってません。

三橋氏はこれを廃止することによってモンサントが堂々と日本の市場に入ってこれる様になる!

と、言ってますけど、この法律があろうがなかろうが外資にはほとんど影響がありませんよ。

現にモンサントが開発したコメが既に流通していますし。この法律の何が外資を規制しているのか良くわかりません。

 

それよりも重要なことは、この法律は日本の民間の種子メーカーの活動を制限している可能性があります。

これは三井物産のレポートですが

 

種子産業―担い手の変化と市場の拡大―

https://www.mitsui.com/mgssi/ja/report/detail/__icsFiles/afieldfile/2016/10/20/120720i_matsuura.pdf

 

この研究レポートの9ページ目にこの様な記述があります。

 

『 日本の種子市場の規模は約 14 億ドル (2011 年) とさ れる。 また貿易額は、JETRO 資料では、野菜種子 (2008 年) の輸出金額は 8,142 万ドル、 輸入金額は 8,636 万ド ルとされている。 これらの貿易額には、 採種のための原種 (もとになるタネ) の輸出や、 海外で生産されたタネを 輸入した数字も含まれている。 市場は、サカタのタネ、タキイ種苗の 2 大企業を筆頭に、 カネコ種苗、 雪印種苗、 トキタ種苗、 渡辺採種場等の中 堅企業のほか、 対象作物を限定した育種や卸小売を中 心とする中小種苗会社によって構成されている。 品種に よっては大手企業と対等に競争できる、 卓越した知見を 持つ中小業者も存在する。 キュウリを専門に研究開発し ている企業などが一例である。 また、 上記大手 2 社は既 に海外へ展開しており、 サカタのタネは海外 130 カ国で 種子を販売し、 その売上高は種子部門の 60%にも上る。 同じくカネコ種苗やトキタ種苗などの中堅企業も、 海外に 事業拠点を設立している。 日本企業の特徴は、 野菜と花卉などを中心に取り扱っ ていることである。 これは、 食糧管理制度下の主要農作物種子法によって、 稲 ・ 大麦 ・ はだか麦 ・ 小麦 ・ 大豆 の種子が公的機関に管理されていたことから、 民間企業は野菜や花の種子しか扱えなかったという過去の経緯が影響している。

つまり、日本は主要農作物種子法によって、「主要農作物」の種子の管理が公的機関事業として行われていたので、民間企業が参入できなかった(参入障壁が大きかった)。その結果、国内民間企業が主要種子の研究開発に力を入れることができずに、海外の種子メジャーのシェア拡大を許すことになっている・・・ということなんじゃないですかね?

で、今回の法改正では古い旧態依然とした公的な種子事業を見直し民間を中心とした種子ビジネスへの転換を図るために主要農作物種子法の廃止を決定したということなんだと思います。

 

目的は日本の種子メーカーを育てるためです。これこそモンサント対策だと思うんですがw
違いますかね?

 

この法律が生きている限り日本国内の種子メーカーは海外で研究開発をすることになると思います(現状はそうらしい)。でもこれでは日本の気候や風土に合った品種を開発することは難しいですよね。

そもそもこの法律ができたのは昭和27年。

当時はまだ国内外の種子メーカーの技術レベルも低く、長い研究が必要な種子の改良、開発ができる体力がありませんでした。だから公的機関が主導して種子の管理を行う。そのための法律だったのだと思います。

でも、現在では状況が変わって、日本の種子メーカーでも十分種子の管理、開発研究が可能になった。それどころかその日本の種子メーカーの活動をこの法律が阻害している。だから廃止しましょう。と、そういうことだと思います。

 

役目を終えた古~い法律を廃止する。

今回の案件は、ただそれだけの話です。

 

それをまあ、針小棒大に「モンサント法」などと叫んで無用な不安を煽るのはどうなのかと思います。

しかもその「種子法」の中身は三橋氏が言うように外資、モンサントを排除する法律などではなくて、逆に国内の種子メーカーを縛っている法律だったという、なんともしょーもないオチ付きではありますが(^_^;)

 

というわけで私はモンサントなどの海外種子メジャー(モンサントなど)に対抗するため、国内の種子メーカーの足枷となっている主要農作物種子法の廃止に賛成致します。

 


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