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種子法廃止関連で色々と情報を集めているけど、とある経済芸人さんが「モンサント法」と名付けた影響もあり、種子法廃止でモンサントの遺伝子組換え種子が日本に入ってくる!
みたいなつぶやきが溢れています。
しかしながら、種子法廃止と遺伝子組換え作物、モンサントが関係ないことはこれまでの記事で書いてきましたので、そちらの方を参照してください。
(種子法廃止デマ)良いものは売れる悪いものは売れない ただそれだけのこと
(種子法廃止デマ)これが価格10倍の根拠なのか? 種子法は種苗法とは違うんですよ。
コメが余っているのにコメが不足する 種子開発と市場ニーズのミスマッチ 種子法、計画経済の弊害
(種子法廃止デマ)なぜ日本の種苗企業を育てようという発想に行き着かないのか
でも、そもそもの話。
遺伝子組換え作物って本当に危険なのでしょうか?
遺伝子を組み替えるって・・・なんかこう、人が禁断の領域に足を踏み入れた感(表現が乏しくてすみません)、ある種の気持ち悪さがあって、不安になる気持ちも分からないでもありません。私も昔は危険だと思ってました。
というわけで、この問題にスポットを当てて、遺伝子組み換え(GM)食物について考えてみようと思います。
それで今、種子法廃止をテーマにした「日本のお米が消える」という本を読んでいるのですが、その中でこんなモノを見つけました。
「日本のお米が消える」月刊日本より https://www.amazon.co.jp/dp/B078XY2JMV/
これ、みなさんも一度は見たことがあると思うのですが、例の遺伝子組み換え食物を食べさせたラットが巨大な腫瘍を発生させた実験。フランスのセラリーニ博士が発表した研究論文の写真です。
この異様で、センセーショナルな写真と研究論文について、当時世界中で話題になったのですが、その後、様々な研究者からこの実験には重大な欠陥があると指摘され、今ではこの論文は撤回されています。
その理由は
・もともと腫瘍が発生しやすい系統のラット(アルビノ種)を実験に使用していた。
(アルビノラットは普通に育てても5割くらいは腫瘍を発症する)
・サンプル数が少ない(50匹は必要であるところを10匹しか使っていない)
・ラットの摂食量が明示されていない。比較対象である非GMラット群でも腫瘍が発生しており、因果関係を説明できていない。(アルビノラットを使っていたので当然ではありますが)
・測定されたデータをすべて公表していない。都合のいいデータだけ表に出している疑いあり。(データの提出を求めると拒否した)
上記の理由から、欧州食品安全委員会 (EFSA) 、日本の食品安全委員会はこの論文について「科学的な結論を導くには不十分である」との見解を示しています。
更にはこの論文を発表したセラリーニ博士は、論文発表と同時に記者会見を開いて、ドキュメンタリー映画もリリース・・・要するにパフォーマンスだったというわけです。何処かの利権がらみだったのかまでは定かではありませんが。
しかしまあ、GM反対派はこんなまがい物と言える様な論文を引用してしまっているあたり、遺伝子組換え作物が危険である事を証明する根拠はないんだろうなと思います。
もし仮に、遺伝子組換え作物の危険性を証明できるようなモノがあれば、「日本のお米が消える」の著書の中でも喜々として取り上げている事でしょうから。
でも実際に調べてみると出てくるのは・・・遺伝子組換え作物の有害性は認められないという内容の論文ばかり。
遺伝子組換え大豆のF344ラットによる104週間摂取試験
https://www.jstage.jst.go.jp/article/shokueishi/49/4/49_4_272/_pdf
上記の研究論文では、104週にも及ぶ長期のラットの実験を経ても、GM大豆の有害性が確認できなかったと結論付けられています。(もちろんアルビノラットではありません)
まあ、ラットが大丈夫だから人間も問題ないとは必ずしも言えないのですが、参考までに。
あと、遺伝子組換え作物について目に付くのは、遺伝子組み換え作物の普及とガン患者の推移に相関性がある!
というやつでしょうか?
ATJ(オルター・トレード・ジャパン)という組織? 団体?が主張する遺伝子組み換え農業が作り出す問題(http://altertrade.jp/alternatives/gmo/gmoreasons)
にそのような記述がありました。
一部を引用します。
米国で急増する慢性疾患
現実に遺伝子組み換え食品の割合が非常に高い米国では遺伝子組み換え食品の出現と共にガン、白血病、アレルギー、自閉症などの慢性疾患が急増しています。この事実だけから遺伝子組み換えの有害性を断言できるわけではないですが、危険の可能性は十分指摘できるでしょう。
はっきり言ってこれって、帰納法的に相関関係が見えるから影響があるかもしれないって言っているだけで、全然因果関係の証明にはなっていないですよね。
因果関係の証明には演繹的、科学的な視点から考察が必要になると思うのですが、そのような説明は全くありません。要はたまたま相関していただけの可能性があるということです。
偽相関ってやつですね。
水俣病も当時は問題ないと言われていた・・・って言っていますけど、水俣病は水俣病です。
水俣病がそうだったから遺伝子組み換えもそうだとは言えないでしょう。それならば、携帯、スマホの発する電磁波も今は問題ないと言われているけど確証はない。だから規制しますか? って話になってしまいます。
そうはならんでしょ。
アメリカでガンが増えている原因については、アメリカも医学が発展した事、平均寿命が伸びている事が原因だと考えるのが普通です。
例えば、昔は結核での死因が高かったと思うのですが、結核については治療法が確立されてしまったので、結核で亡くなる人が激減。結果ガンで亡くなる人が増えた。そういうことだと思います。
要するに様々な病気が医学の進歩で治るようになってきて、ガンくらいでしか人間は死なないようになってきた。ということです。
このガン患者数が増えている原因がGM作物のせいだと言うのならば、平均寿命が伸びてがん患者が増えている事を考慮したとしても、遺伝子組み換え食品が原因でガンが増えているという、何らかの根拠を示さなければならないと思うんですけど・・・・・・、そういう論文、研究資料等あるのでしょうか。
ちなみにこちらの国立がん研究センターのページに「ガンの年齢調整死亡率」のグラフが掲載されています。
年齢調整死亡率とは、高齢化などの年齢構成変化の影響を取り除いたものです。
https://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/stat/annual.html
国立がん研究センターより
ガンの死亡率上がってますか?
むしろ下がっていますよね?
※データは日本ですけど、日本も遺伝子組換え作物を海外からガンガン輸入していて、既に食べています。
それにアレルギーと自閉症が増えている事についても・・・これも先程のガンと同様に他のアレルゲン、要因と切り分けて、遺伝子組み換え食品が原因だと断定できるデータ、研究結果はあるのでしょうか?
相関があるから因果関係がある・・・というわけでは必ずしもないわけです。
もし仮にGM作物の健康問題を裏付ける様な研究結果、論文があったとしたら、こういう団体は真っ先に飛びつくでしょう。
それがないのだとすると、因果関係を証明するものはないんだろうなぁと、ちょっと穿った見方をしてしまいます。
先程の「日本のお米が消える」と同じです。
あと、遺伝子組み換え食品の健康問題で最も懸念されるのが、害虫抵抗性の遺伝子が組み込まれた食品を食べても問題ないのか? だと思います。
これは私も昔、作物が殺虫成分を自ら生成して害虫を駆除するものと勘違いしていました。こんなん食べたらヤバイやんと。
でも改めて調べてみると、虫を駆除しているのはバチルス・チューリンゲンシス(Bt)という微生物から取り出したBtタンパク質というものらしいです。
これはトウモロコシの害虫である蛾の幼虫に対して特異的に作用するタンパク質とのこと。このBtタンパク質が幼虫の消化器官に入ると、受容体がそれに反応し、消化器官自体が破壊されてしまいます。
だからやがてその幼虫は飢えて死ぬ。そういうものらしいです。
直接虫を殺す成分があるわけではありません。
で、そのBtタンパク質は標的となる害虫のみに特異的に反応するものあり、そのタンパク質を人間や他の動物が食べても、普通のタンパク質として消化分解吸収されます。
繰り返しになりますが、別に毒を生成しているわけではありませんので、人間や家畜には無害です。
さらにBtタンパク質はアルカリ性の環境下でしか機能しないので、酸で食物を消化する人間を始めとした哺乳類には影響はないです。
もしあなたが、蛾の幼虫と同じ消化器官を持っていて、さらに酸ではなくアルカリで食物を消化する胃をお持ちであるのなら影響があるのかもしれませんけどね。
というか、遺伝子組み換え食品って、日本国内で生産自体は禁止されていますが、既に大量に輸入されています。
5%以下で、意図的に入れたモノでないのであれば、遺伝子組み換えでないという表記をすることが許可されているのです。
つまり表示がないモノは遺伝子組み換え作物が使われているということです。
たとえば、飲料水や菓子などに多く含まれている果糖ぶどう糖。これはトウモロコシを原料とした甘味料なのですが、日本に輸入されているトウモロコシの8割、9割は遺伝子組み換えであると言われておりますので・・・
果糖ぶどう糖は遺伝子組換えであることは間違いないと思います。
あと家畜の飼料のほぼ全数が遺伝子組み換え大豆やトウモロコシです。
だから我々日本人は家畜から、加工食品から既に遺伝子組み換え食品を口にしているんですよね。
もし遺伝子組換え食品に、人間に対して明らかに健康被害を及ぼすような要因があれば、今頃大問題に発展していてもおかしくないのではないでしょうか?
中には遺伝子組換え作物に組み込まれた「遺伝子自体」を食べるのが怖いと考えている方もいますが、良く考えて頂きたい。遺伝子はすべての動植物が持っているモノですから、遺伝子組み換えでない野菜や魚などを食べても、遺伝子、DNAは普通に摂取しています。
もし、GM作物を食べてそのDNAが人間のDNAに悪影響を及ぼすのなら、他の食物も同様に危険なはずです。
それに、自然界でも遺伝子の突然変異や、他の生物からのDNAの水平伝播などで遺伝子の組み換えが発生し、その結果優位な特性を得た種が生き残って発展してきました。(ちなみに食べたものからDNAが水平伝播することはありません)
要するに地球上の生物って突然変異による遺伝子異常、遺伝子組換えを繰り返しながら進化してきたわけなので、そう考えるとなぜそこまで遺伝子組換え作物を危険視するのか、良く分からなくなってきますね。
まあ、一回のエントリーですべてを説明し切ることはできませんので、今後も何回かに分けて、遺伝子組換え作物とモンサントのデマについて解説していこうかなと思います。
アイキャッチの画像は『ぱくたそ』さんから頂いています。
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