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 前エントリーの補足となりますが、山田正彦氏の種子法廃止で「コメの価格が10倍になる」発言、これの根拠はなんなのかと色々調べていましたが、どうも、三井化学が開発販売しているF1品種の「みつひかり」が一般の種籾の価格の10倍近い値段である事が根拠の様です。

その山田氏発言はこちら → 『日本の農業はモンサントに支配される』 月刊日本 より

 

 でも「みつひかり」って業務用の安価なコメとして栽培されて既に市場で流通しているものなのですが・・・

 種籾の価格が10倍だからって、最終的なコメでの価格が10倍になるわけ無いでしょう。完全なミスリードですね。

 「みつひかり」は多収性で大規模農業に特化した品種。育成期間が長いそうなので、刈込みを遅らせても品質には影響がない。だから、一気に同じタイミングで収穫をする必要がなく、大規模農業に向いています。主に農業法人が栽培しているっぽいですね。

 それに病気に強い品種と掛け合わせているので、散布する農薬の量を減らすことができるし、収量が安定する。

 

 だから生産にかかるコストを大幅に削減することができる品種なので、種籾が高くても最終的なコメとしての販売価格を抑える事ができるわけです。

 

 「みつひかり」は年々作付面積を拡大していますので、まさに市場のニーズに合致している品種なのだろうと思います。


農林水産省 『民間企業開発品種『みつひかり』で多収、作期分散を実現』より

 

 でも、F1品種は自家採種しても、次代には品種特性が出てこない。だから農家は毎年ボッタクリ価格の種籾を買わざるを得なくなる。

 みたいな話をチラホラと見かけるのですが。

 「みつひかり」のようなF1品種の種籾価格が高いのは、別にボッタクっているわけではなくて、そのF1品種の性格上、種籾の生産性が低いからなんですよね。

 F1品種は雄株の特性と雌株を同時に栽培し、受粉を経て特性をかけ合わせて生産するのですが、タネとして取り出して売れるのが雌株に実った種籾だけなので、単純に採れる量が半分だけになってしまいます。

 また、他のイネの花粉が混雑しないように適切に管理しなければなりません。だからコストがかかるのです。

 

 あと種子法の下、選出された奨励品種には税金が突っ込まれており、安いダンピング価格で農家に提供されています。

これが、10倍以上の価格差の要因なわけで・・・。まあ、要するに行政が行っていた種子生産は、価格の面で優遇されており、競争原理が働いていないということです。

 あと、毎年種籾を買わなければならないのは、F1品種に限らず他の既存のコメ銘柄も同様です。

 

全国米麦改良協会の調査によると稲作農家の種子更新の比率はだいたい88%とのこと。
http://www.zenkokubeibaku.or.jp/pdf/s/28-29.pdf

 

 種子更新とは読んで字のごとく、自家採種ではなくて、種子を購入して稲を栽培するということですね。

 農水省もJAも自家採種を繰り返すと交雑などにより品質特性が薄れ、産地評価を悪くしてしまうことにつながるので、農家に対して種子更新を推奨しているそうです。

 実際に上記の資料を見ると、北陸や東北、北海道などの米どころ程、種子更新率が高いです。ブランドを意識している産地ほど種子を毎年買っているということですね。

 

 というか、そもそもの話。民間の種苗なんて、野菜の分野では既に一般的。さらにF1品種も当たり前のように流通しています。でもそれで、何か不都合なことが起こっていますか?

 

 日本の野菜、種苗産業が外資に支配されるようなことになっていますか?

 価格が10倍に跳ね上がってます? 味が不味くなってますか?

 なってないですよね。

 

 それに、そもそもの話。

種子法廃止したらコメを民間企業に支配されてしまう。 ←もし、これが本当ならば、日本の行政は市場のニーズを全く無視し、劣悪な品質の品種しか開発していなかった事になります。

 そんなことはないですよね?

 日本のコメは美味しいですよね? それがなんで民間に取って代わられて、淘汰されてしまうんですか?

 

 また、日本の種子の権利がモンサント等の民間企業に払い下げられて・・・みたいな意見も散見されますが、種子の権利については種苗法で保護されていますので問題ありません。

 もともと種子法には種子の権利を保護するような条文はありません。

 

 ただ、農水省は今回の種子法の廃止により、官民一体の種子開発の促進を期待している様ですが、これにしても相手を選ぶことはできますよね? 契約で縛ることもできます。

 だから民間企業に支配されるなんてことは杞憂です。

 (と言うか種子法関係なしに独立行政法人作って種子開発やっている所ありますし)

 

 種子法・・・主要農作物(コメ、大豆、麦)の安定供給を自治体に義務付けたもの。

 種苗法・・・すべての植物の知的財産権を保護する法律

 この二つをごっちゃにしている人が多いような気がしますが、廃止されるのは種子法の方です。

 

 種子法が廃止されたとしても、『行政の義務』がなくなるだけなので、別に廃止後も行政が種子の開発供給を続けることは可能です。続けるか辞めるかは各自治体の判断となるでしょう。

 ただ、根拠となる法律がなくなったので、予算はつきにくくなるとは思いますが。

 

 というわけで、まあ、これ以上無用な不安を煽るような愛国ビジネスはやめにしていただきたいですね。

 あと、種子法廃止で日本の農業が遺伝子組み換え食物に汚染されるというツイートも散見されますが、種子法は別に遺伝子組み換え作物を規制するような法律ではありません。

 遺伝子組み換え食物は食品衛生法で厳しく規制管理されて、カルタヘナ法で厳しい審査を受けており、種子法とは別問題です。

 

種子法が廃止されても遺伝子組み換え作物についてはこれまでと変わりありません。

 

 ただ、遺伝子組み換え食物については、私も以前は危険な代物だと思っていましたが、調べれば調べるほど健康面においても環境面においても問題ないことが分かってきました。

 あと、世界、日本経済、そして貧困にも密接に関係してきます。

 この遺伝子組み換え食物についてもブログにまとめていきたいと思いますので、よろしくお願い致します。

 

アイキャッチの画像は『ぱくたそ』さんから頂いています。


 

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