水質悪化の具体的な例ってありますか?
民営化で水質が悪化するのではないかという声はよく聞かれますけど、水質が悪化したとされる具体的な例やエビデンスがなかなか見つからないんですよね。
皆さん何を根拠に水質悪化を心配されているんでしょうか。もしかして悪化するんじゃないかという雰囲気でそう思われているんじゃないでしょうか・・・
一応イギリスの世論調査で水道事業の再公営化を望んでいる国民が83%に上る。原因は水道料金の高騰と水質の悪化、漏水の増加・・・
というような記事を見かけたのですが。。。
参考
イギリス国民の83%が「水道の再公有化」に賛成の衝撃
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/63729
とはいえ、イギリスの水道料金は民営化後に物価上昇率よりも抑えられていますし、水質も改善、漏水量も減っているようなんですよね。
参考
海外水道事業における民間活用の状況
民営化後の水道料金についてはこちらの記事を参照
ファクトチェック 水道法改正関連④ 民営化で水道料金高騰?
民営化で水道料金高騰は本当なのか? 水道の民営化の弊害として最も多く語られているのが、水道料金の高騰です。 ですが・・・過去のエントリーでも取り上げましたが、松山市の水道料金、気仙沼の水道料金はデマ ...
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・・・上記の『イギリス国民の83%が「水道の再公有化」に賛成の衝撃』の記事を読むと、鉄道、エネルギーの再公営化を望む声も70%後半みたいなので、ただ単に国民がなんとなく再公営化したら今より良くなるんじゃないかと考えて再公営化を押してるんじゃないかと思います。現状の不満をぶつけているというか、あまり深く考えていないのでは。
まあ、イギリスの水道事業の役員高額報酬などはもちろん肯定できませんが、日本が導入しようとしているのはイギリスの完全民営化ではなく、官民連携のコンセッション方式で、入札もオープンで完全に民間に主導権があるわけではありませんので、高額報酬など難しいと思います。(水道料金は官が決定しますので)
というか、現状でも運営がキツキツなので無理でしょう。
南アフリカでコレラがまん延
あとは南アフリカの例。
民営化で水道料金が高騰し、水道料金を払えない貧困層が河川の水を利用しコレラがまん延・・・
でもこれって、水道料金が高騰したのはワイロ、癒着の問題であって、もともと南アフリカ政府が腐っていた事が原因です。
これだと公営でうまくいっていた保証はどこにもないんですが・・・。
ワイロ上等の公的機関に命の水を任せて安心できますか?(-_-;)
これ、民営化とか関係なくてそれ以前の問題ですよね?
ほかにもインドネシアの例とかありますが、それらは途上国特有の政府役員の腐敗、経済面の問題などが主な原因であり、これを日本の水道事情に当てはめるのはどうなのかと思います。
成功例は継承し、課題は解決すればよいのでは?
そもそもすでに日本の多くの自治体では水道事業の一部を民間企業に委託して運営しています。
今年からコンセッション方式を導入することで注目を浴びている宮城県も、過去30年にわたって水道事業を民間に委託して運営していました。
30年間、民間が運営していて特に水質に問題はなかったと思うんですが、それがコンセッション方式に切り替えただけでいきなり悪化するとは考えにくいでしょう。
この30年の民間の実績をなぜ反対派の人たちは無視するのでしょうか?
・・・無視というか、知らないだけなんじゃないですかね? ろくに調べてもいないみたいですし。
今回導入されるみやぎ型管理運営方式は、九つに分かれていた上下水道事業を一つに統一(9事業別々で民間の契約していた)して、これまで民間企業と5年間契約だったものを20年間契約に伸ばして、民間のスケールメリットを活かそうという試みなんですよね。
細々と分割された事業では重複する仕事が発生してしまい効率が悪くなってしまいますので、それを統一することで効率化を図り、契約期間を延ばすことで民間企業の人材、設備投資の意欲を引き上げるというわけです。
私にはこれの何が問題なのか良く分かりません。
水質悪化と料金上昇が心配なら、イギリスの様に水質監視、水道料金の価格決定プロセスを明確にすることで、価格の維持や水質の改善が図れたという前例があるのですから、それに倣い仕組みを構築すればよいだけだと思います。
現に宮城県では30年間民間企業に委託されて特に問題なく運用できていたのですから、その延長で問題ないでしょう。
ワイロや役員の高額報酬は倣う必要はありませんけどね。フランス、ドイツでも価格決定プロセスが不明瞭だという指摘が上がっていますが、日本ではその辺を明確化すればよいのだと思います。
良いものは取り入れて、悪いものは改善する。人間はそうやって進歩して発展してきたんじゃないんですかね。
あと、コメントで国債発行してカネさえ出せばいいじゃないかという意見がありますが、カネだけ出せば設備が更新されて、人が湧いてくるわけじゃないんですよ。
建設、人的リソースは有限ですので、事業の効率化は必要不可欠です。
現実はシムシティではありませんので。
まとめ
- イギリスは民営化失敗と言われているが、実際には水道料金が抑えられ、水質は改善し、漏水量も減っている
- 南アフリカなどの途上国の例はそもそも官の腐敗が原因で民営化以前の問題
- 海外の成功例に倣い、課題は改善すればよい
- 日本は深刻なリソース不足、水道事業はカネだけで解決する問題ではない。事業の効率化が急務。