誰かの赤字は誰かの黒字・・・それ自体は間違ってないと思うけど
改めて、政府の財政赤字とは、「政府貨幣発行残高」の増加に過ぎません。誰かの赤字は、誰かの黒字。先日の三橋経済塾でもご紹介しましたが、 ■ 政府の収支+一般企業の収支+家計の収支+海外の収支=0 です。GDP三面等価の原則と同じく(続きはブログで)https://t.co/IIpVPBAIV0
— 三橋貴明 (@TK_Mitsuhashi) August 25, 2019
MMTの「政府の借金が、国民の預金を生む」ことをグラフ化したものです。政府の赤字が拡大すると、企業や家計の黒字が増えます。 「政府赤字国債」と言うと印象が悪いので、これからは「国民黒字国債」と呼ぶようにしたいと思います。 「国民黒字国債」を年間30兆円ほど増やしましょう。 pic.twitter.com/oqNsSt75tQ
— 池戸万作 (@mansaku_ikedo) June 5, 2019
政府の赤字(借金)じゃなきゃダメって事はありません。
誰が借金を増やしても構わない
デフレ期は民間が借金をしないから政府がする
リソースは有限! GDPは『国民総生産』なんだけど
この様な「政府の赤字は民間の黒字」と言っている方たちは、どうも政府が赤字=国債発行を増やしたら、その分だけ国民の所得が増えて、GDPも成長するかの様に考えているようですが……。
GDPは国民総生産であり、国民が働いて生み出した付加価値の総計である、という事の認識が無いように思います。(もしくはわざと無視しているか)
池戸氏は30兆円ほど国債発行を増やせ、と言っていますが、今はアベノミクスの効果により、民間が借金を増やして需要を増やしています。
この様な状況で政府が国債を発行し、財政出動をしても、民間の生産能力が追いつかずに、政府が財政出動した分だけGDPは増えません。
日本の人的、生産リソースが無限大という前提条件があれば、池戸氏の理論は成り立つと思いますが、リソースは言うまでもなく有限です。
現に今は各業界が人手不足になっているわけですし。
ま、外国人労働者を大量に受け入れる……というのなら話は分かるんですけど、三橋、池戸両氏は移民とか外国人労働者は反対の立場ですよね?
理論が矛盾し過ぎていて私にはちょっと理解不能です。
これ、結局は国債発行額の割にGDPが増えず、消費税増税の口実として財務省に利用されるだけになるんじゃないでしょうか。
あ、ただ名目的にはGDPは増えるかもです。でも実質的な成長は望めません。
要はインフレ率だけが上がるという事になるわけで……まぁ、それでも税率でインフレ率をコントロールするのがMMTのやり方らしいので、
MMT的にも財政出動からの消費税増税は臨むところなのかな?
要するに、単なるドミナントストーリー
実際のところ政府が作り出した需要=公的需要、民間が作り出した需要はアベノミクス以降増え続けているんですよね。(民需は再掲)
国内需要 = 公的需要 + 民間需要
これはつまり、アベノミクスによる財政政策+金融政策の効果により、民間経済が活発化し、需要が喚起されている事の証左に他なりません。
民間が積極的に借金を増やして、民間の資本、資産を拡大しているということです。
政府の赤字がとか黒字がとか特に関係はありません。
借金、信用創造は別に誰がしても構いませんし。
しかし、
元々、三橋氏たちはこの公的需要を増やせと言っていたと記憶していますが、近年三橋氏が、公的需要や公的固定資本形成のグラフを使っていないように思います。
民主党政権時はかなりの頻度で使っていたのに。公的需要が足りないって。
これ、要は自身に都合が悪くなったからですよね。
公的需要のグラフを出してしまうと、安倍政権は緊縮だという自身の主張が嘘だとバレてしまうからでしょう。
彼らには、なんか
- 安倍政権は緊縮でなければならない。
- そして緊縮であるはずの安倍政権下において、民間需要、銀行貸し出しが増えているという事はあってはならない。
という絶対的な価値観があるみたいですし。
そんな不都合な現実から支持者たちの目を逸らすために
政府の赤字を減らしている = 緊縮
と、財政出動、緊縮の定義を変えて、
緊縮だから、民間の黒字が減っているから民間の需要が増えるわけがない → 支持者たちは民間需要を見に行こうとしない。
そんな感じじゃないかなと思う。