銀行貸し出しは増えていない?
こんなツイートを見かけましたが・・・
これはおそらく、いくら量的緩和をして、銀行にお金(日銀当座預金)を積み上げても財政出動しなければ、企業はお金を借りて投資しない。
と、いいたいのだと思うんだけど
政府「金融緩和しました!」 銀行「お金がじゃぶじゃぶあります!」 資産家・大企業「ふーん」 お金が無い人「貸して下さい」 銀行「金融資産をお持ちで無いので貸せません」 銀行「誰も借りに来ない」 政府「なぜなんだ」 お金が無い人「貸して下さい」 政府・銀行「誰も借りに来ない…なぜだ…」
— MMM (@MMM140806) September 2, 2019
んー。でもね。
銀行貸出し額は量的緩和以降、増えているんですよね。
統計を見ると、この通り。
70兆円ほど増えていますよね。
日銀の短観をみても、
企業の資金繰り、貸し出し態度が改善しておりますので、貸し出しが増えるのは当然かと。はっきりと量的緩和の効果が分かります。
まあ、400兆円も量的緩和しているのに、貸し出しが70兆円増えただけじゃショボすぎる・・・などと批判する人もいるかも知れませんが、何もしなければこの70兆もなかったわけなんですけど。
もしかして、その方が良かったとでも?
あと、これも定番といえる批判ですが、貸し出しが上昇し始めたのはアベノミクス前の2012年からだ! とかいうやつ。
上昇トレンドが始まったのはアベノミクス前だから、アベノミクスは関係ないと言いたいのでしょうが、
- 2012年の2月に日銀は量的緩和(通称バレンタイン緩和)をやりました。要は量的緩和の効果。
- たかがトレンドだけでリーマンショック前の水準を超えるわけがない。
というわけなので、その理屈はかなり無理があろうかと思います。
そもそも政府は財政支出を増やしていない?
あちらの界隈では、政府が財政支出を拡大して需要を生み出していないからいつまで経ってもデフレを脱却できない。企業が投資をしないという共通認識を持っているみたいですが、
政府が作った需要、いわゆる公需の推移ですが、
このように伸びています。
2002年のピークを超えて、過去最高額を更新し続けています。
で、民間の需要の方はというと、やっぱりこちらも増えていますね。一時期チャイナ・ショックで凹みはしましたけどね。
でも、消費税が増税されたことを考えるとかなり良い結果だと言えるのではないでしょうか?
政府の金融+財政政策が経済を下支えしたものだと思います。
ま、日本政府は金融緩和すると同時に財政を拡大していることは、データを見れば明らかなのですが、もしアベガーの界隈の主張どおりに、政府は何もしていないのだとしたら、
民間投資、需要は消費税増税に関係ないという事になってしまいますがそれで良いのでしょうか。
量的緩和で貸し出しが増えるメカニズム
量的緩和して日銀当座預金をいくら積み上げても貸し出しは増えない!
ブタ積みだ!
みたいな話はよく聞くんですけども。量的緩和で貸し出しが増えるメカニズムってそんなに難しくはありません。
というか、皆難しく考えすぎだと思います。
日銀が民間の金融機関から国債を買い上げてしまうと、金融機関にとって今まで稼ぎの柱だった国債が、0.1%程度のショボい利益しか産まない日銀当座預金に変わってしまうワケです。
金融機関からすると死活問題です。
てなわけで、金融機関は貸出金利を引き下げて、必死に企業に融資しようとするわけです。
ま、それが上で示した貸し出し態度、資金繰りのDIに現れてますね。
また、国債金利(長期金利)も量的緩和によってほぼ0%付近で推移しております。
というわけなので、金融機関が国債を買っても儲けにならない。
なら、企業に貸し出そう。
ということになるわけです。
企業側も、銀行の貸し出し態度がよくなり、金利の低下で金利コストが安くなったので、
「ちょっと、古くなった設備の更新でもするか」
なんて考える経営者が出てきてもおかしくはないと思います。
国債でシコシコ稼ぐのが銀行のあるべき姿じゃないと思うので、量的緩和でやっと銀行本来の本分に立ち返れたんじゃないかなと・・・。
なぜ統計データを見ないのだろうか・・・
彼らはおそらくマスコミや共産党などが発信する、自分たちが見たいもの。。。例えば「内部留保ガー」とか「実質賃金ガー」とかを見て、それで満足して、一時データまで見に行ってないのだと思います。
だって、一時データ、統計データを見ればそれらが嘘であることは一発でわかると思いますし。
(見ても分からない人はもうどうしようもないですね)
そんな彼らと議論しても話は平行線・・・何の得るものもありません。
前提条件から狂っているのでそれも仕方のないことでしょう。相手にするだけ無駄ですね。