需要がないなら増やせばいい?
なんかツイッターでこんなコメントをいただきました・・・
国内で「高価格帯銘柄」の需要を増やせば済む話。 https://t.co/hYa4yphZBv
— 竜蔵@庶民を豊かにする経済論 (@ryuzou1200) April 17, 2020
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うーん。
しかし、市場(外食、中食産業)が安い業務米を求めているのに、政府、都道府県が種子法の下、高いブランド米の生産ばかりを推奨するので、
供給と需要のミスマッチが発生しているという事なのに、
>国内で「高価格帯銘柄」の需要を増やせば済む話。
とは、どういうことなのか?
おそらくですけど、政府がガンガン財政出動して、国民の所得を上げれば国民が高いブランド米を買えるようになる・・・
とか、言いたいんじゃないかなと思います。
でもこれは明らかに間違っています。
必ずしも
お金の量が増える = 国民が豊かになる
ではありませんので
仮に国民の所得が増えたとしても・・・
ま、仮に政府がガンガン財政出動して、国民全体の所得が上がったとしましょう。
例えば所得が単純に倍になったとした場合。
ブランドのお米、今10kg大体4000円くらいですかね。
このお米の値段がそのまま据え置き・・・なんてことはあり得るでしょうか?
まずないでしょう。
国民の所得が倍になっているのに、お米の値段が据え置かれたら農家の人の所得は実質的に半分になってしまいます。
確実にお米の値段は値上がります。まあ、いわゆるインフレってやつですね。
というわけなので、国民の所得を増やしたところで、ブランド米に比べ相対的に安い「業務用米」の需要が減ることはありません。
「業務用米」とは言っても、最近はその味も質も向上していますしね。
つまり、
>国内で「高価格帯銘柄」の需要を増やせば済む話。
というご意見は、国民の所得は増えてもコメの値段は据え置かれるという、あり得ない前提条件がないと成立しないトンデモ論というわけです。
この方、日ごろ実質賃金! 実質賃金! って言っているのに・・・なんで都合のいいときだけインフレを無視しますかねぇ・・・
しかしまぁ、市場で供給と需要のミスマッチが発生しているのに、そのミスマッチを解消しようとはせず、需要と供給そのものを作り変えてしまおうとするとは、完全に思考が社会主義的ですよね。
経済的に豊かであるとは?
経済的に豊かになるとはどういう事でしょうか。
ま、これ過去に三橋氏も言っていたことなんですけど(今は違うのかな?)
所得内でより多くの物やサービスを購入、受けられるようになる事だと思うんですよね。
生産性や効率性を上げて、より安いコストで大量のモノやサービスを提供できるようになる。
これが経済的に豊かになるという事だと思います。
子供のころ途上国の貧困の様子をテレビ番組で見て、
「なぜ途上国はこんなに貧しいのか、先進国との違いってなんなのだろう」
と、疑問に思ったことがありました。当時は幼かったし、調べる手段もなかったので疑問は疑問のままだったんですけど、今では
豊かさ = モノの多さ(生産力、供給力)
だよなぁ と実感します。
金だけあっても、モノやサービスが無ければ意味が無いですからね。
2000年当初は液晶テレビなんか1インチ1万円とかいっていた記憶がありますが、今では1000円を切る商品がゴロゴロあります
つまり、ここ20年で、我々は液晶テレビを10倍買い求めやすくなったという事であり、その分生活が豊かになったと言えるでしょう。
お米の話で言うと、
安い業務用米を食べて、その分浮いたお金でまた別のものを買える様になる。
先ほどの液晶テレビの話も併せて、これが豊かさだと思います。
(個人で高級ブランド米を買って楽しむ事を否定しているわけではありません。あくまで全体のマクロの話)
ブランド米を品種改良して多収化して(品質、味はそのまま)コストを下げる努力をする・・・というのなら話は別なのですが、種子法の下ではそれはできません。
都道府県、農水省はコストを下げるという事を嫌うので(利益が減るから)、多収化の品種改良は制限されていたんですよね。
減反政策と一緒で、価格維持のため生産量、供給力をわざと棄損させていた・・・つまり我々国民から豊かさを奪っていたと言わけです。
まあ、液晶テレビは別に買わなくても生きてはいけないことはないですが、コメは日本人の主食ですからね。コメを買わずに生きていく・・・のはおそらく無理だと思います。
よって種子法は廃止されて当たりまえ。むしろなんで今まで放置されていたのか? って話です。
デフレが良い と言っているわけではない
上の話を読むと、
「じゃあデフレがいいのか?」
って突っ込みが予想されますが、私が言っているのは液晶テレビやコメなどの個別価格の話であって、マクロ全体の一般物価の話ではありません。
なにか、革新的な技術が考案されて、ある商品の提供価格(個別価格)が下がることについては大歓迎です。
それで浮いたお金で、また別のモノやサービスを買うことができるようになりますので。
ですが、マクロ全体で、お金の流通量が不足してその結果、お金に対する需要が高くなってしまう、一般物価の下落(デフレーション)は経済を悪化させ、雇用を破壊するるだけですのでまったく歓迎はできません。
個別の価格とマクロ全体の一般物価を混同しないようにお願いします。
そういえば種子法が廃止されて、はや2年ですね。モンサント危機を煽っていた評論家さんたち、元気ですか?
種子法って廃止されたのが2018年の4月でしたので、もう廃止されて2年経つんですね。
当時は モンサントなどの外資に日本の農業が破壊される~~~~!!!
みたいな事が叫ばれていましたが、2年後の今でも全くそんな気配はありません。
モンサント法だ! なんて言っていた某経済評論家様は、何もこのことについて言及されないのでしょうか?
これじゃ、日本は財政破綻する! と言って危機をあおりまくっている御用学者さんを批判することはできないと思うんですが・・・