経済

27日の金融政策決定会合。さすがに追加緩和あるよね?

27日に追加緩和、ほぼ確定?

これは日経新聞の記事ですが、


国債購入制限なく、日銀議論へ CP・社債購入倍増


『日銀は新型コロナウイルスの感染拡大による経済の急速な悪化を受け、27日の金融政策決定会合で追加の金融緩和策を打ち出す最終調整に入った。国債の購入額は現在年80兆円としているめどを撤廃し、必要な量を制限なく買えるようにする方向で議論する。企業が資金調達で発行するコマーシャルペーパー(CP)や社債については購入上限額を倍増する見込みだ。(後略)
2020/4/23 日本経済新聞 電子版』


これがまあ、3日前の記事。
日経新聞の飛ばしである可能性があるので(というか金融政策決定会合の中身事前に漏れるってあかんでしょ)、過信はできませんが、今の経済の現状を鑑みて何らかの金融緩和策の実施が予想されますね。

それなりの規模を期待しているのですが、日経新聞の内容を見ると・・・うーん、ちょっと微妙かなぁ・・・

 

 

国債購入無制限と言っているが・・・

記事では国債の年間購入枠の80兆円を撤廃すると言っていますが、10年物利回りの0%誘導、目標金利水準は維持するとされているので、、、これあんまり上限撤廃の意味ないですよね。

というのも、今現在先ほど説明した「10年物利回りの0%誘導」の実施により、国債購入にキャップがかかっており、そんなにマネタリーベースは増えていません。

こんな感じです

金融緩和開始直後の2013年なんかは急激にマネタリーベースを増やしていましたが、

現在では前年同月比で2~3%の増加に留まっています。かなり購入絞っています。

なので、上限枠の80兆円フルで買っていない状況なので、この状態で国債購入制限を撤廃されてもあまり変わらないかなぁ・・・というのが私の印象です。


でも、CP、社債の購入額を倍にするというのは良いと思う。何もしないよりは全然いいです。

企業の資金繰りへの支援にもなりますし、

倍と言わず、もっと増やしてほしいというのが正直なところですが、明日の決定会合に期待しましょう。

 

 

ところで、いまだに金融政策を否定する人がいるんですけど・・・

ところで、いまだに金融政策を否定する人がいるんですけど・・・

ちょっとニュースを漁っていたら、面白い記事を見つけましたのでちょっとご紹介を。
「マネーが日銀構内に滞留している!」 はぁ? ってな感じです。

記事の一部を引用しますが、

見えぬ景気回復の兆し。アベノミクスが6年9カ月間で使った無駄金
https://www.mag2.com/p/news/430453/2
『第2に、「思い切り増やした」はずのマネタリーベースは一体どこへ行ってしまったのかというと、私の説では、日銀の構内からほとんど外へ出ていない。私が、アベノミクスの始まり以来、数値を改訂しながら本誌で何度もお目にかけ、また講演などでも示している簡明な表があって、その最新のものは次のようである。

日銀はこの6年半に、世の中に供給する通貨総量を3.8倍にまで膨らませた。が、その方法と言えば、まさか刷ったお札をヘリコプターで空中散布する訳にもいかないし、そうかといって直に市場に出て国債を買い漁ることも禁じられているので、民間銀行が保有する国債を買い上げる形をとる。その代金は、日銀から各民間銀行が日銀内に置いている「日銀当座預金」に振り込まれる。
この口座は、第一義的には、個々の銀行が経営破綻に陥って取り付け騒ぎに遭遇したというような場合に備えて、一定金額は日銀内の口座に積んであるのでご心配なくと言えるようにするところにある。とはいえ、それ以外にも日常的に日銀と民間銀行の間にはいろいろなやりとりがあり、それが全てこの口座を通じて行われる。

そこで上の表を見れば明らかなとおり、日銀はこの6年半に379.1兆円分のお札を刷り増し、そのためマネタリーベースは513.8兆円にも達した。ところが民間銀行が日銀内に置く当座預金はこの期間に354.4兆円増えていて、実はマネタリーベースが増大した分のほとんどがそこで滞留していたことが判る。
そこで日銀は、その当座預金にマイナス金利まで課して何とかして引き出させようとするが、叶わなかった。なぜか?世の中に資金需要がないからである。』


まあ、要約すると

日銀がマネタリーベースを6年半に379.1兆円増やしたが、
民間銀行の日銀当座預金は354.4兆円増えている

つまり、増やしたマネーの殆どが日銀内に滞留していて、全く引き出されていない! 金融政策は効果がなかった!


と、言いたいのだと思うんですが、これ全然的外れです。

というのも、
民間銀行が企業にお金を貸し出しても、日銀当座預金が減るわけではありませんので・・・

 

 

日銀当座預金を貸し出すわけじゃない

民間銀行が企業にお金を貸す場合、日銀に預けている日銀当座預金からお金を引き出して、それを企業に貸し出す・・・という風に上記の記事を書いた人は考えているのかもしれませんが、そうではないです。

日銀当座預金はあくまで民間銀行が一定額持っていなければならない準備金であり、別に銀行はこの準備金を直接企業に渡すのではなくて、その準備金の〇倍までマネーを殖やして、企業に貸し出しを行ってもよいという事になっています。

つまり、銀行がお金を貸すとき、企業が銀行に作った口座の預金の数字を、銀行が100万円と記述するだけで100万円の貸し出しが完了。

その貸し出しによって、準備金である日銀当座預金が減るという事はありません。銀行は準備金(日銀当座預金)をタネにしてお金を殖やしているだけなので。


現在の法定準備率は0.05〜1.3%程度らしいので、準備金(日銀当座預金)の100倍は貸すことができるという事になりますね。(そんなべらぼうな額を貸し出すことにはならないと思いますが)


よって、日銀当座預金が減ってないから、貸し出しは増えていない ・・・という事にはなりません。


実際、貸し出しは金融政策実施以後、増えていますしね。

この通り、日銀の金融政策開始後から増加してますよね。

 

 

でも、これ以上準備金を増やして意味あるの?

という疑問があるかもしれません。確かに今は我々が銀行に預けた預金と、日銀の金融政策で膨れ上がった当座預金で、民間銀行はかなりの「超過準備」の状態になっています。
今現在、あくまで理論上ですが、日銀当座預金354.4兆円の100倍のお金を民間に貸し出すことができるようになっているわけですので。

これ以上積み上げても意味が無いのではないか?? という疑問も分からなくもありません。

ですが、ご安心を。
意味はばっちりあります。


日銀が国債を買い取ると市中の国債の供給が減りますので、国債の価値が上がって、金利利回りが減少します。
すると、今まで国債の利回りによって利益を確保していた民間銀行が稼ぎのタネを奪われるという事になるので、破綻を回避し、利益を得るためには国債以外の投資先を探し、資金を投資し、利ザヤを稼がなければなりません。

従って、銀行の企業への投資が増える。貸し渋りが減るという事になるわけなんですよ。

ですから、日銀当座預金に積みあがっているから意味が無い、のではなくて、積みあがっているから意味があるんです。

 

 

とりあえず明日の決定会合に注目

100兆円を超える財政支援については目途が立ちそうなので、あとは金融政策ですね。


今回の財政出動で、20兆円以上の国債が発行される見込みですので、市中の国債が不足する・・・という事にはならないと思うので、日経新聞にあるような10年物利回りの0%誘導はちょっと凍結して、買い上げの額を増やしてほしいとは思います。

ま、明日の決定を待ちますかね。

 

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